「トレド」
10P(53p×41)
街全体が世界遺産に登録されている古都トレド。
Next Before
この絵は今回紹介する55作品の中で素人目に最も下手と思えるものです。
建物は全部と言っていい程歪んでいて空も汚く、手前の茶色い建物なんかまるで子供の落書き描みたいに感じられます。
最初に見た時、「うわー、オジィ、やっぱり絵ヘッボイ!!」と思い、紹介するつもりは全くなかったんですが、
当ページの制作中に気分転換を兼ね地元の美術館に行って適当に画集を見ていうちに、
「別にみんながみんなとんでもなく絵が上手いわけじゃないのかも?」
「カッコつけずに、この際少々ヘボイの載せるのもアリか?」と思い、
素人ながら帰国後個展開催にあたり故萩森久朗氏に頂いたお言葉
「絵は上手く描くだけが能じゃない」
という心境についに至り、思い切って載せてみました。
なおトレド(Toredo)は1561年にフェリペ2世によってマドリッドに遷都されるまで首都として栄えた、
エル・グレコの町ともいわれる街。
その時からまるでタイムスリップしたような古い街並みが今でも残っていて、街全体が美術品のようなところ、だそうです。
ゴメンナサイ、ワカリマセン。
以下 帰国第一回目の個展パンフレットからの引用です。
ユダヤ人にはユダヤ人の宿命がある様に、芸術家には芸術家としての宿命がある。
年齢としては孫と日なたぼっこをしているはずの山崎さんが、身を挺して異国の山河に絵筆をとり、
重い絵具をたづさえて写生に出かける。
右手が利かねば左手で、と云う熾烈な美への探究心が夜となく昼となく彼を精進に追いやる。
パリーのモンマルトルで、或いはカルチェラタンで、又モンパルナスで彼を見る。
パリジャンは誰でも心の帽子を脱ぎ、彼に見えない拍手を送る。 欧州では位置の高いと云われる美貌の女性が、
彼の絵の具だらけの手に握手するのを見た。
誰の心をも打つ彼の精進が皆さんの支持を得て一層光を増し、端倪すべからざる悟道の境地に達することを望んでやまない。
絵は上手に描くだけが能事ではない。
魂で描く彼の作品は、サロンで皆様の子弟の心の鞭(ムチ)として、無言の激励となることを期待して止みません。
三重県立美術館のスタッフ様、その節はお世話になりました。